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レーシングチームの運び屋って?

レース運営にとって、“運び屋”も重要な存在です。
今年、2020年のTCR Japanを闘う『M-PROTOTYPING Team STILE CORSE』には、運び屋はふたり。

ひとりは文字通り、レーシングカーを運ぶ人。
そしてもうひとりは、TCRで言えば5日間にわたる1回のレースを運ぶ人。

まず、レーシングカーを運ぶ人、“トランスポーター(通称トラポ)”のリョウさんです。

「ほんとにチームによって僕の仕事はいろいろ。ここでは……楽しいですよ」という、
杉田 亮さん(左)。

僕の仕事は運び屋です。

大切なレースカーを車載車に乗せて、
レースが行われるサーキットまで運転し、
レースが終われば、また載せて帰ること。
もともとは一般のお客様のクルマを運んでいたのですが、
アゲマツさんと関わり、レースカーを運ぶようにもなり、
このチームでもお声がけいただきました。

このTCRでいえば、
アゲマツ監督の拠点「Stile」さんがある埼玉県川口市から、
北は仙台、西は大分まで、レースごとに、
大蔵選手のレースカーを載せて往復すること。
現地に水曜日について、日曜日の夕方に出発し、再びStileへ戻る…
これが僕のメインの仕事です。

チームによっては、
本当に運ぶだけが仕事で、
サーキットにいる間、ただほかのスタッフの仕事を見ているだけ、
なんてこともあります。

ただ、この『M-PROTOTYPING Team STILE CORSE』では、
現地でも、タイヤを運んだり、ピットの整理をしたり、
メカニックの方のお手伝いをはじめ、
とにかく何でも屋。

アゲマツ監督の人使いが荒っぽいから?(笑。
いやいや、こういう仕事に関わってる人って、
何もすることがないのが辛いというのは、皆がわかってる。
だから、そのほうが楽しいんです。
人間、動いてるほうがいいに決まってるじゃないですか。
そして、自分の仕事以外でも役に立てるって、
ささいなことかもしれませんが、嬉しいです。

いろんなレーシングチームでトランスポーターの仕事をさせていただいてきましたが、
このチームは、また独特の雰囲気。
決してゆるいというわけではありませんが、
「言わなくても信頼してますから」というオーラを出すアゲマツ監督と、
それを全面的に信頼してコクピットに座る大蔵選手が、
チーム全体の緊張感につながっている感じ。
それでいて、ピットの中では時には冗談を言い合ったり、
アゲマツ監督が大蔵選手をいじったりして笑いを誘うっていう…
とにかくあまり経験したことがない心地よい空気感です。

実はアゲマツ監督も、
ご自身がドライバーを務めるレースや、
お客様が参加するレースのサポートでは、
自分で車載車を運転している人。
アゲマツ監督さえ頑張れば、僕は必要ありません(笑。

だけど、今回はアゲマツ監督が大蔵選手を最大限にサポートするために、私がいる。だから、アゲマツ監督やメカニックの方のサポートをするというのは、私の大切な仕事です。

レース中はもちろん真剣なリョウさん、ほんとはいつも笑顔の人。


前回の大分では、東京から大阪まで車載車を運転し、
大阪から大分までフェリーで来ました。

ほぼ20時間かけての移動は「大変ですね」と思われることもあるかもしれませんが、
国内でレースをする以上、
レースカーは必ず車に載せて運ぶものなので、
当たり前の世界。
そんな中でフェリーに乗れるってことは、
しっかり足を伸ばして休めるってことなので、
すっごいラクでした(笑。




そして、もうひとりの“運び屋”はこの人。
レーシングチームにとって欠かせない縁の下の力持ち、
マネージャーである、タジマさんです。

「写真が怖い・・(笑)。引きの写真ありますでしょうか(笑)」というのは、
タジマミナさん。実は、国内の著名なレーススポンサー企業の役員の方々からご指名がかかる人気者です。


私、本業は企業のホームページを作るコーディネーターですが、
いまは、
どちらが本業だったっけ?というくらい、
一年の半分くらいは、
レーシングチームのマネージャーの仕事をさせていただいています。

その仕事は、さまざまな段取りを考え、必要なお店やホテルを予約し、スケジュール表に落とし込むこと。そして現地に帯同する場合は、ピット内での休憩スペースの設置や整理から、 大蔵選手のヘルメットをドライヤーにセットしたり、メカに関わらない部分のお手伝いまで。
その中で一番重要なのは、スケジュールと実際の進行を逐一チェックして、オーナーやドライバー、監督やスタッフの皆さまに共有することです。

もともとは段取りとか、
そういうことは好きでした。
レースの世界に特に関係があったということではありませんが、
ホテルの予約をしたり、
現地でのレストランの予約を手伝ったりしているうちに、
すっかりマニアに…。

なんのマニアかというと、
タイムスケジュールづくりと予約マニアです。

スケジュールは分刻みで作成。
移動も、時間帯、距離など、かなり綿密に想定して
文字通り「1分刻み」。
なので、
スタッフがスポンサー様と行動を共にする場合や食事時間なども、大会スケジュールに沿って逆算し計算します。

もちろん突発的なトラブルでスケジュールが変わることもありますが、それでも今までの経験の中から、
「かもしれない」ということをどれだけ想定するかで、
おおよそブレのないスケジュールづくりをしています。

あと、個人的には宿泊予約も燃えます。
実はレーシングチームの宿泊予約って、
簡単ではないんです。
サーキットって、だいたい郊外にあり、
その近くにあるホテルは限られています。
そして、レースが開催される週は、
全国から多くのチームが宿泊するわけですし、
週末は一般のお客様も来られます。

近いホテルは予約が取りにくいんです。
そして、それが無理だと、移動に時間がかかる都心部のホテルを予約。

とくに大きなレースだと、もう至難の技…

そんな中で、
ずっとこの仕事に関わってきた私がやっていることは、
宿泊予約に関していえば、だいたい3つです。

まず、全国のホテルの予約担当スタッフさんとのネットワークづくりと直接電話や宿泊サイトとのにらめっこ。
次に、移動方法や前後の予定を考慮した立地の検討と確認。
そして、スタッフやお客様の「このホテルが好き」という好みを押さえること。

もうずっと予約サイトを見ているので、
自分でもマニアだなぁ、なんて思います。

「あと一室です」とか、
さっきまで空きがなかったけど、1時間後に見たらキャンセルが出てたってこともしょっちゅうで、それを発見して抑えた時の爽快感というか達成感は格別。
ホテルの方から「タジマさん、空きでましたよ!」なんて連絡いただく時も、この仕事やってて良かった…と心から思います。

また、スポンサー企業の役員の方々もレースにいらっしゃることが多いのですが、
ホテルのこだわりが結構あります。
実はドーミーインさんて、
大浴場があってサウナもあって、
朝食も豪華で美味しくって、
そういうエグゼクティブの方にも人気。
しかも主要駅から近いので、
食事場所やコンビニもあり、計画が立てやすいのは重要で、
富士でレースがある時は、ドーミーイン三島さんを真っ先に抑えます(笑。

タジマさん、引きの写真もご用意しました。


お客様に満足いただけたかどうか…?
それは、あとから「なんの連絡もないこと」が証拠でしょうか。
だって、なんかあったらすぐに電話してくる人ばっかりなので、
連絡がないことと、次に依頼をいただくことが最大の満足、
と勝手に思っています(笑。

このチームでは、
オーナーの大蔵選手は滋賀県出身、
メカニックのリョウヘイさん、そして私は関西が拠点。
「あかんやん」とか、
関西弁でいろいろ言われるのが最大の満足…
と信じてます。

いつかドーミーインさんの予約代理店をやりたいです!(笑





文字通りの運び屋と、
数日間に渡るレース運営のスケジュールを確実に運んでいく運び屋。

『M-PROTOTYPING Team STILE CORSE』では、
見えないところで
こういうプロフェッショナルがチームを支えていました。


こんな素敵なチームの今年の挑戦、
12/19、20、
富士スピードウェイで締めくくりです。




『TCR Japan Series 2020 Round 5 SUZUKA』

#73 大蔵峰樹選手

12月4日(金)
Sunday Series 1 予選 14:35~ 7位
Saturday Series 予選 14:50〜 7位
Sunday Series 2 予選 15:50~ 4位

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12月4日(金) 17:10
〜Sunday シリーズ 1 決勝〜

#73
総合 6位
ブロンズクラス 4位

11 Lap 25’08.315
Best lap  2’14.823

2回目の表彰台まであと一歩。



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12月5日(土) 12:10
〜Saturday シリーズ 決勝〜

#73
総合 6位
ブロンズクラス 5位

10 Lap 23’39.717
Best lap  2’13.944★

★大蔵選手は2回もスピンするなど波乱のレースでしたが、
出場した選手全員の全ラップの中で、
大蔵選手はNo.1のラップを記録し、
ベストラップ賞を受賞しました。



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12月6日(日) 12:20
〜Sunday シリーズ 2 決勝〜

#73
総合 6位
ブロンズクラス 3位★

10 Lap 22’40.460
Best lap  2’14.125

★この日の決勝では、
ブロンズクラスで3位入賞。
今シーズン二度目の表彰台に立ちました。






TCR Japan Series 2020 これまでの模様はこちら

Round 4 AUTOPOLIS(後編)

Round 4 AUTOPOLIS(前編)

Round 3 OKAYAMA

Round 2 MOTEG

Round 1 SUGO






著者名:

DOMINISTYLEの活動を楽しんでいただくために、様々な活動を行っています。サウナビギナーで、最近、ウィスキングに興味津々。