くるま部

1秒の中に
4〜5チームがひしめく世界。

ドーミーインが応援するレーシングチーム、
『M-PROTOTYPING Team STILE CORSE』。

霧で波瀾のシーズンスタートとなった第一戦に続き、
8月29日~30日、
「栃木県のツインリンクもてぎ」で第二戦が開催されました。

「TCR Japan Series 2020 Round 2 MOTEGI」



前回の霧の悪夢を晴らすように、
この日は快晴。
それどころか、屋内でも汗が滝のように吹き出す暑さで、
ピット内は扇風機全開です。

第一戦を無事8位で完走したことで、
自分が通用するという感覚を掴んだ大蔵選手。
リラックスしてレースに備えます。

大蔵選手(右)とアゲマツ監督(左)

29日(土)、まずは予選。

#73 大蔵選手

Saturdayシリーズ 2’03.466 11台中6位
Sundayシリーズ 2’03.262 11台中5位



TCRでは、ドライバーのカテゴリーによって2つに分かれており、
FIAという国際自動車連盟が分類する、
プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4つのカテゴリーのうち、「シルバー」と「ブロンズ」のカテゴリーの選手が参加しています。
カテゴリーは実績で決められ、どちらもアマチュアですが、
ブロンズよりシルバーのドライバーのほうが上位となります。

このTCRでは、シルバーのドライバーは2名。

よって、予選に参加したうち、
大蔵選手を含む9名がブロンズクラスであり、
お互いにライバルになります。

つまり予選はブロンズクラスで言えば、
それぞれ、4位と3位。

なんと、2分3秒台に、4〜5台がひしめく状態で、
言い換えれば、クラス優勝が常に狙えます。
チーム監督のアゲマツ監督も「これはイケる!」と
表彰台をしっかり意識しました。

「レースって、ドライバーの技術ももちろん大切ですが、
それ以上に大切なのが、データとセッティング。
早い車を作れば勝てるんじゃなく、
ドライバーの調子、天気、気温、コースを見極め、
車各所のセッティングを変えて、一番速く走れる状態を作っていくことです。
大蔵選手に車を合わせていく作業、でしょうか」

「そしてデータというのは実際に走り、さまざなセッティングを試し、
考えられるすべての状況を蓄積していきます。
なので、このTCRに以前から参加しているチームやレースカーには、
おのずとデータが蓄積されているので、
その時の状況や戦況に応じて、ベストセッティングを作るのが有利になります」

「私達は今年が初参戦になるので、まだまだデータを作っていっているところ。
 結果を出せるのは、少し先だと思っていましたが…
 我らが大蔵選手が予想以上に頑張ってます」

「プランですか?特にはっきりしたイメージを持っているわけではありませんが、
 3年は参戦しようと考えています。
 たとえアマチュアといっても、レースはそんな簡単な世界じゃないですし、
 アゲマツ監督が言うように、地道な努力が必要ですから。
 でも、やっぱりレースなんで、表彰台には立ちたいですね」
と大蔵選手。

そしてこの2戦の中で、
レースの度にチーム全員が同じドーミーインに宿泊し、
約5日間、一緒に活動する中で、
メンバー同士がより互いを理解しあっていく…

第三者として見ていても、
そこに生まれてくる新しいエネルギーをヒシヒシと感じます。

自然と生まれる笑顔も、決して緩んでいるのではなく、
緊張感の中にもリラックスがあり、
それが結果につながる…



そしてSaturdayシリーズ、決勝。

6番手からスタートした大蔵選手、
少しナーバスになったのか、スタートで手間取り順位を最下位まで下げましたが、
盛り返して8位でゴール。

しかし…

レース後の車検で、
タイヤに書いてあるべき検査済みマークがないことを
オフィシャルから指摘されます。

アゲマツ監督は、

“公式に購入したタイヤなので、間違いないはず”。

検査済みマークが書かれていなかった可能性を指摘することも考えますが、
ここは今後のことも考え、指摘を受け入れました。
1周遅延扱いになり、この日は11位最下位という結果に。

「頑張った大蔵選手には本当に申し訳ないのですが、
これはピットのミスです。たとえ書かれていなっかったとしても、
それに気づかなかった。
だけど気持ちを切り替えて、
明日のSundayシリーズに気持ちを切り替えます!」

そして、
翌30日、
Sundayシリーズ決勝。
前日スタートをミスった大蔵選手、
レースのためにピットに出た際に、
スタートのシミュレーションをし、
スタッフ全員の「いける!」という確信のもと、
いよいよレースへ。

「この暑さだと、まともに速く走れるのは2周くらい。
あとはタイヤがついていかないので、うまくコントロールしながらタイムを作っていきます」
とアゲマツ監督。

2つ順位を落としますが、まずまずの出だし。
シルバークラスの2台が熾烈なトップ争いをしながらレースを引っ張ります。

大蔵選手は中盤から6位まで順位をあげ、
4位争いを激しく行う2台に接近。
最初、4位を狙っていた#19の車も、
後ろから迫る#73 大蔵選手に気づき、
ブロックを始めます。

最初に伝えたように、1秒の中に数台がひしめく世界では、
グリップを失っていくタイヤをコントロールしながら
前の車両を抜くのは至難の技…

結果、
そのまま6位でゴールイン。
あと1つで、ブロンズクラスの表彰台が見えてきました。

大蔵選手、
おかえりなさい!

ブロンズクラス4位のサイン!

「前の車は抜けませんでした。やはり巧いですよね。
 僕は後ろを気にせず追いかけるだけですが、
 彼は後ろの僕を気にしながら、前も攻める。
 相当なメンタルと技量じゃないとなかなかできません。
 すごくいい経験ができました。
 そして何より、こんな素晴らしいクルマを作ってくださる
 チームの皆さんに本当に感謝です。」

結果は6位でしたが、
ベストラップだけ見ると、
大蔵選手の2’03.985は、
優勝選手の2’03.684と、なんとコンマ3秒差。

前日の結果を真摯に受け止め、
この日に集中した大蔵選手、アゲマツ監督をはじめとする
『M-PROTOTYPING Team STILE CORSE』のメンバー。

「見てる自分等がこんなに緊張したり、
 嬉しかったり出来るチームと、
 レースは本当に最高ですね!」

吹き出す汗の中に、
最高の笑顔がありました。

次は9/26(土)、27(日)の
岡山へ…





『TCR JAPAN SERIES 2020 Round 2 MOTEGI』

Sundayシリーズ

#73 大蔵峰樹選手 6位

11 Lap 23’10.942
Best lap  2’03.985







著者名:

DOMINISTYLEの活動を楽しんでいただくために、様々な活動を行っています。サウナビギナーで、最近、ウィスキングに興味津々。