他にもいろいろ

広い海と空を一望する天然温泉に癒され、能登・北陸の美味に大満足~『白鷺の湯 能登 海舟』宿泊レポート~≪前編≫

世界が認めた名湯・和倉温泉
波穏やかな七尾湾に佇むオーシャンフロントのお宿

最近、あっという間に1日が終わって、ベッドに倒れ込む毎日。
「なにも考えずに海でも眺めながら、ひたすらぼ~っとしたい…。」と思っていたら、
それならここが一番と勧められて、和倉温泉「白鷺の湯 能登 海舟」を訪れました。


入り口では、伝説の鷺が迎えてくれました。
開湯1200年といわれる和倉温泉は、古くは「湯の湧きづる浦(涌浦)」と呼ばれていて、
傷ついた鷺が身を癒しているのを漁師が見つけたのが、温泉発見のきっかけなのだそう。

幕末頃になると、和倉温泉は京都の公家や大阪の豪商も訪れるほどの評判になり、
明治13年にドイツで開催された万国鉱泉博覧会では、なんと栄誉ある「世界三等鉱泉」に。
よく知らずに来たけれど、和倉温泉って実は世界屈指の名湯なのですね。


しかも、「白鷺の湯 能登 海舟」は、まるで七尾湾に浮かんでいるかのような、
これ以上はないほどのオーシャンフロント。
チェックインも早々に、ラウンジの大きな一枚ガラスの向こうに広がる海に引き寄せられました。
テラスは海風が気持ちよさそう。  
ウェルカムドリンクで一息ついて、七尾湾と能登島にご挨拶したらお部屋へ。

ほとんどの客室に設えられている天然温泉の専用露天風呂

ちなみに、この湯宿にはさまざまなタイプの天然温泉露天風呂付客室があって、
海に一番近い3室の特別室は、離れのようなプライベート感が漂います。
手が届きそうなほど海面が近くて、専用足湯まであって、
天然温泉に浸かりながら波音に耳を傾けるステイ、憧れでした。

憧れの特別室和洋スイート「羽衣」


こちらは、4人まで泊まれる上層階の天然温泉露天風呂付客室。
眺望抜群。
寝室が2名ずつに分かれているから、世代によって生活リズムの違う親子旅にもよさそう。
海を望むテラスの角が船の舳先みたいです。

さてさて、実際に宿泊したのはこちらのお部屋。
このお宿で最もスタンダードなツインでありながらオーシャンビュー、
しかも檜造りの天然温泉露天風呂付き。
部屋のドアを開けると、奥の窓の向こうに海と空が広がっていて、思わず窓辺に駆け寄りました。

内海の能登湾は波が穏やかで、明るい色の海。
なだらかな能登島の稜線をたどると左奥にツインブリッジと、
右の端には能登島大橋も見えます。

心づくしの部屋菓子をいただき、このままのんびり、まったりもよいけれど、
世界に誇る和倉の名湯をたっぷり味わいたい!
ということで、作務衣に着替え、湯かごを持って湯処へ。

1日目は「純和風風呂」へ
茜に染まる西の空から目が離せない

大浴場は、タイプの違う「純和風風呂」と「新和風風呂」があって、
夜中に男女入れ替えになるので、宿泊当日と翌日の2日間で両方とも楽しむことができるのです。

この日の女湯は「純和風風呂」。
内湯も露天風呂も、湯船のふちが岸壁?と錯覚するほど海に近くて、うれしくなります。
和倉の名湯はさらっとした無色透明で、やさしく肌になじみます。
ああ、気持ちいい…。

しばらくすると、西の空が少し茜に染まり始めました。
こんな大きな空の下で、温泉に浸かったことあったかなとぼんやり考えるけれど思い出せない。
塩化物泉でしっかり温まるので、ときどき海風に吹かれながら、
刻々と色を変える空と海に心を奪われました。


純和風風呂には、眺望のよい内湯や露天とはガラリと雰囲気を変えた洞窟風呂もあって、
このコントラストというか、遊び心がたまりません。
蒸気風炉足湯(サウナ)では、あっという間に玉の汗が噴き出してきました。

ほてった体に湯上り処のアイスキャンディーがじんわりしみます。
部屋に戻ってベッドにダイブ。
とろとろとまどろむ心地よさといったら…。

能登の里山里海に育まれた美味の数々
ひとくちひとくちに幸せがあふれる

夕食の時間になったので、食事処「能登囃子」に向かいましょう。


食前酒は、日本四大杜氏である能登杜氏の「常きげん純米吟醸大王松」、
先付けは、蕨 独活 とんび白和え。
続いて、前菜の盛り合わせが運ばれてきました。
白和えの先付けが雪の残る北アルプスなら、純米吟醸酒は雪解けの清水、
前菜は春を迎えた能登の里山里海の豊かさを集めた宝箱のよう。
食べてしまうのが惜しいような美しさ、でも食べ始めると箸がとまらない。

蟹筏ふかしが満月のような小蕪から透けて、鶯菜、牛蒡、吸口、干し口子があしらわれた
すまし汁仕立てのお椀は、どこか懐かしさを感じました。
海の恵み六種盛りは、白梅買、赤西貝、本日のお造り、真鯛、甘海老、中とろ。
添えられた酢味噌と煎り酒、土佐醤油で味わい比べるのも楽しい。


しゃぶしゃぶは、黒毛和牛にも惹かれたけれど、のどぐろと活き鮑にしました。
青竹の上に並んだ艶やかな切り身は、しっかりと脂がのった極上のもの。
だし汁の中でやさしく泳がせて、レアな食感が残るうちに口に含むと、
ふわっと広がる白身の旨み。
上品でコクがあって、脂が甘い…。
白身のトロといわれるのもよくわかります。
歯ごたえのよい鮑も、かみしめると磯の香りと旨味がじわっ。

とろけるようなしゃぶしゃぶの余韻から
焼盛り(甘鯛木の芽焼き、蛤葛焼、牛八幡巻き、はじかみ、蕗味噌)の
さわやかな香りやほろ苦さが引き締め、心ばかりへと進みます。


心ばかりは、合鴨と春野菜治部煮、真河豚・蟹 土佐ジュレ掛け、若竹茶碗蒸し、白海老かき揚げから、
好みとお腹の余裕に合わせて2種類選べるという、なんともうれしい心遣い。
お腹も心もかなり満たされていたけれど、新しい味への期待が高すぎて、
結局、2種類いただきました。


それでも、さば小糠茶漬け(へしこ)とデザートまでお腹に収まったのは、
この季節の恵みをおいしく味わってほしいという細やかな配慮が、
食材選びから調理法、盛り付けのすみずみにまで行き渡っていたからなのでしょう。

幸せに満たされて部屋に戻り、少しお腹が落ち着いた頃、
客室専用の露天温泉に入ってみました。
対岸に見える能登島の灯りがほのかに揺れて、静かな春の夜、
湯の音だけが聞こえます。

今日1日の疲れが癒され、寝心地のよい和ベッドでぐっすり就寝。

後編は朝風呂と朝食について紹介します。

白鷺の湯 能登 海舟
〒926-0175 石川県七尾市和倉町ワ部31番地
TEL: 0767-62-0085

著者名:

全国の共立ホテルチェーンにいる、自分の店舗が大好き!で地元愛に溢れるスタッフ。そして社外から共立ホテルズを応援してくださるFANの方々。そんなDOMINISTAが特派員として活動中〜。