下町歴史部

なんだKANDAのお散歩マップ
<前編>
『アキバから連雀町』

シャッター絵師・田中教授と歩く、下町散歩。
浅草から谷中、根岸をぶらぶらしながら、
歴史の時空も行きつ戻りつしております。

今日は、神田へ向かいつつ、
表通りからは、なかなか見ることができない
時代の足跡をたどっていきます。







神田明神は元和2年(1616)に、いまの場所に
江戸の総鎮守として創建されている。
その由緒ある地に本社がある『共立メンテナンス』を基点に下町散歩出発。

田中教授の影を写す男坂。

神田明神の石段『男坂』をコツコツ下れば…

“ご用だ!ご用だ!”

江戸時代の捕物張の声が聞こえるようだ。
銭形平次親分はこの明神下の長屋に恋女房と住み、
平和な下町を騒がす悪人を捕えるために、
明神界隈で活躍した。

そんな趣き漂う明神下に、
粋な黒塀《神田川》。


出だしからうなぎの蒲焼ではさまにならぬ。
香りを満喫してアキバの街へ……

「ご主人さま、お帰りなさいませ。」

たちまち現実に引戻される。
電気街として発展した秋葉原は“オタクの聖地”へと変貌し、
今やアニメ・フィギュアなどポップカルチャーの発信地となった。
そして、世界に冠たる?“類似恋愛ワンターランド♡”

◇萌ちゃん、おじさんの好みわかるかな?

「ハイ、萌のひざ枕で癒しの耳かきですか、
それともアキバ学園のコスプレにしますか?」

◇おじさんは、もっと古いのがいいなァ。

「それなら大正ロマン、鬼滅の刃のメイド、
『しのぶ』ちゃんと手をつなぎ、
アキバの街をルンルン散歩はいかがですか?」

◇萌ちゃん、アキバの由来わかるかな?

「ハイ、萌えアキバ神社の胎内めぐりでしょ」

◇いや、おじさんがいる浅草に、由来となる秋葉神社があるんだよ。

「 “フェー!” 知らなかった!
メイドイン・アキバじゃないんだ」


――江戸後期、神田川北岸佐久間町(現万世署付近)は、
炭問屋薪置場が多く火事が多発した。
一旦火が出ると近隣ハケ町に及び、
時には日本橋から築地海岸にまで焼け抜ける大火になるため、
“炎の悪魔町”とさえ呼ばれた。

維新直後の明治二年(1869)にも大火となったため、
東京府は現在の秋葉原駅やヨドバシカメラの地一帯を「火除地」に決める。
明治天皇の御下命で、
宮城内紅葉山の鎮火三神〈火の神〉・〈土の神〉・〈水の神〉をここに移し、
火災鎮護の『秋葉神社』を創建した。
明神さま『神田神社』の兼務社として郷社に列格され、日ゝ参詣者で賑った。

ところが僅か18年後、
思いがけない国家による鉄道計画が発表され、
路線上に位置する秋葉神社は浅草松ヶ谷に遷座することになった。

火除地は鉄路と秋葉原駅となり、
現在の山手線など、多くの路線が敷設され、
現在の繁栄につながっている。

また、この地には明治十二年、東京府中央卸売市場が設けられ、
平成二年まで百十年間、駅傍にある青果市場は大いに賑った。
それを称して、『やっちゃ場』と呼ばれるようになったが、
競り売りの声が、“あァちッや、いくら!”と、呼び上げるので、
いつしか『やっちゃ場』になったものである。

万世橋を渡れば、
昔のステーション跡、《マーチエキュート》がユニークだ。
2階は目の前を走行する総武線を眺めてお茶を楽しめる。

万世橋から神田川を。左がマーチエキュート、右の高架は総武線。奥は御茶ノ水駅で、川の奥に少し見える小さな黒い穴2つ、これは地下鉄丸ノ内線。ちなみにマーチエキュートの上は中央線が走ります。


その裏、淡路二町目に奇跡のトライアングルと呼ばれる、
旧『連雀町』が存在する。
昭和二十年の東京大空襲で焼野原になった神田一帯。
ところが、この連雀町の三角地帯だけが奇跡的に被害をまぬがれた。
明治・大正の趣きが残り、食通にはたまらぬ街となっている。

お江戸ご三家《神田藪蕎麦》、
池波正太郎が愛してやまなかった下町風情の手打《まつや》、
時代を感じさせる鳥すきの《ぼたん》やあんこう鍋の《いせ源》、
粟ぜんざいの《竹むら》、
レトロな雰囲気の珈琲《ショパン》と、
歴史ある名店が軒を連ねる。

こちらは《ぼたん》

ちなみに連雀とは、肩にかける背負子(しょいこ)のことで、
売り歩く行商人が多く住んでいたので連雀町と呼ばれるようになったのである。

本日の町歩きは、粋な“符丁!”で幕とする。
《神田藪》の

“お客さーん、せいろ1まぁ~い!”

これでなくちゃ。



<文・イラスト・写真 田中けんじ>





『神田薮蕎麦』の前で。
「あの声がね、このご時世だから、女将さんの名符丁が聞けなかったのが残念。早く元気な世の中になるといいね」と田中教授。浅草から自転車で約30分の旅だそうです。

なんだKANDAのお散歩マップ、
明日また後編でお会いいたしましょう。



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