風呂

お風呂を彩る“職業絵師” 李惠さまの世界 【後編】

私達ホテルグループの誇り、「大浴場」。
その大浴場の壁画を手掛ける“職業絵師” の李惠(りけい)様へインタビュー@野乃浅草 別邸。
本日は【後編】です!

【前編】はこちらから…

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— 今までで一番印象に残っている現場って、どこですか?

李: やっぱり野乃別府でしょうか。貸切露天風呂の壁360度ぐるっと一面に、別府湾を一望するような風景を描く、という試みで、それ自体がなかなかのチャレンジだったんですが、なにしろ期間中ずーっと台風で、ハプニングも多くて! 

そんな李惠さまの苦労を忍びながら!?ぜひ味わっていただきたい! 野乃別府の貸切露天風呂の1つ「亀川」制作中の1ショット。

福: あれは過酷でしたね~!

李: 雨と風が吹きすさぶ中、小雨になったタイミングを見計らって描いてたんですが、ご配慮で屋根代わりにかけて下さっていたブルーシートが、ついにドジャーン!と落ちてきて全身びしょ濡れ!…今となっては、良き思い出です(笑)

「過酷だけどサイコーに楽しかった!」という野乃別府の制作風景写真を見返して笑い合うお2人…いい関係性なんだなぁ~

— 月並みな質問ですが、画を描く上で一番大切にしている事は何でしょう?

李: そうですね…実は私「自分を表現したい!」みたいな想いがあまり強くなくて。このお風呂画みたいに、与えられたテーマに応えるようなお仕事に、すごくやりがいを感じるんです。なので…「ご依頼主の想いをどう表現するか?」というところに一番こだわっています。

— それ、めっちゃ伝わってきます~~~(福田さんとハモる・笑)

李: え~嬉しいです(笑) なので、私、最近は“職業絵師”という肩書?を使ってるんです。

— 「職業絵師」…確かに、李惠さんにぴったりな肩書です。そっか~だからこんなに多彩なタッチで幅広いお仕事ができるんですね。すごく納得できました…!

李: とんでもないです。もともとグラフィックデザインや空間デザインを専門としていたんですが、その後、京都で水墨画や書を学んだ影響もあり、寺院の天井や壁に画を描くお仕事につながりました。

— う~ん、謙遜されていますが、興味も、学びも、すごく幅が広いんですけど…! 

李: お恥ずかしいです。 でも本当に、松鵜棟梁や綜合デザインの皆さんに出会ってから、色々なチャレンジをさせていただき、ぐっとお仕事の幅が広がったんです。

— ホントに良いご縁なんですね…

では、ここで福田さんにも質問! 福田さんから見て、松鵜棟梁はどんな方ですか?

福: 勉強させていただくことばかりです。例えば…お風呂の扉でお客様がお怪我をされないようにと「手挟み防止」建具を付けることになり、なかなか思うようなモノが出来ない…となった時「なんで無理なの?こうしてみてよ!」と…設計や職人さんたちと(喧嘩寸前の勢いで!?)妥協せず試行錯誤し、実現していく…お客様目線でとことんこだわる姿勢は、職業人として本当に尊敬です。

障子風の「手挟み防止」建具(左)と、ガラス扉に取り付けた「衝突防止板」(右)。お風呂の雰囲気を損なわず、取っ手は握った際にも心地良いように…手触り滑らか、かつ湿気に強い古材風木を選び、仕上がり具合まで徹底チェックするというこだわり具合!

— そこまで徹底的にこだわって造って下さるから、お客様にも伝わるんですね…先般の「FAN×FUN総選挙 お風呂編」でも、お風呂への細か~いこだわりを褒めて下さるコメントが色々あって、「やっぱりわかる人にはわかるんだ!」とすごく嬉しかったんですよね。

福: 嬉しいですね~。私達のやりがいにもつながります!ちなみに…野乃別府は、その「お風呂への想い」がいちば~ん凝縮されたホテルだと思っています。松鵜棟梁の情熱とこだわりの集大成と言えるんじゃないでしょうか。

李: ですね!野乃別府のお風呂は、本当にすごいです。その一部を担わせていただいたと思うと、本当に感謝です。

大浴場や客室露天風呂はもとより、注目は「別府八湯」を表現した、七つの貸切風呂+大浴場(で八湯を表現)。「ここまでやるの!?」という表現が、まったく大げさではありません。ぜひ、このこだわりを体感しに訪ねてみて下さい!(私もまだです!早く行きた~い!)
期待高まる!貸し切り風呂への入り口(左) 李惠さまが手掛けられた各温泉の紹介額絵のひとつ(右)。「竹久夢二風に…というオーダーで七種。これもかなりお任せされ、楽しく描かせていただきました♪」

— はぁ~なるほど・・・!

今日は、お風呂を造って下さる皆様方の、お風呂愛とプロ意識を心底感じるお話をたくさん聴かせていただき「うちのホテルのお風呂って、ホントにすごいんです!」って、今すぐ、誰かに自慢したくなりました~ありがとうございました!

李: こちらこそ、ありがとうございました。次の現場も楽しみです♪

福: 次は(仮称)野乃 熊本ですね!どうぞ、よろしくお願い致します!

…かくして、野乃浅草別邸 試泊日のインタビューを終え、各々チェックイン、お風呂を楽しむことに…
(しかし李惠さまの画は男性大浴場のみ。「今後、チャンスがあったらぜひ男女入れ替え制にしてください!」とのリクエストもいただきました。た、たしかに~笑)



~インタビューを終えて~

まずは、李惠さまの「職業絵師」という生き方に触れ、お会いするまで不思議で仕方がなかった、手掛けられる作品の幅の広さへの「謎」が一気に解けた気がしました。次は、どんな画を描いて下さるんだろう…?純粋にワクワクします。

また、李惠さまと福田さま、お2人をふくめた(通称)大工さんチーム(もはや一派!?)の信頼関係とチームワークのすばらしさ! やっぱり「ものづくり」って、良いチーム、良い関係性があってこそなんだなあ…としみじみ。

李惠さま、そして松鵜棟梁&綜合デザインのみなさま…

どうぞこれからも、ますますよろしくお願いします!



News★

今年の秋、「職業絵師 李惠の仕事」という展覧会を福岡で開催予定!詳細は確定次第、李惠さまの公式サイト・インスタ等でお知らせ予定とのこと。気になる方は要チェック♪

★おまけ★

李惠さまと浅草散歩♪

「野乃浅草 別邸」のすぐそば(浅草花やしき通り)にオープンしたテイクアウト和菓子屋(羽衣茶寮)、洋食屋(街のビストロ パンプキン)、もんじゃ・鉄板焼き「いろは歌 花やしき通り店」などを3人で散策。羽衣茶寮の「炙りみたらし団子」は大きめサイズで時間が経っても不思議に柔らかく、くせになるお味でした…🍡

著者名:

仕事と子育てと家事に翻弄されつつ日々を楽しく過ごす「かあちゃん」いんこ。息子たちとの行き当たりばったり、ゆるめの“ドーミーイン巡り"がライフワーク(?)です。