石選びから約2週間後…
いよいよ、ドーミーイン高松中央公園前の大浴場の石組みです。
大浴場には、男女それぞれ100個を超える大きな石が運び込まれていました。
大工さんチーム、まずは男性大浴場の内湯の湯口づくりから始めます。
「この配管、2本あるでしょ?」と石組みのプロフェッショナルであるニッタさん。
「奥の長いのが、人が出入りしてお湯が減った時に,
自動で温泉が流れ出る湯口。
で、手前のこれ、湯船を衛生に保つために、ろ過循環させてきれいにしたお湯が出る湯口。
街中では、さすがに温泉旅館みたいに天然温泉かけ流しってわけにはいかないから。
ドーミーインには必ずこの2つの湯口を近くに配置しています。
これが僕たちがたどり着いた、今のところ最新の“ドーミーイン流”湯口。
しくみは後で説明しますね」
そんなニッタさんがおもむろに持ち上げたのは、記念すべき第一号の石。
これは“ゴロタ”といって、“受石”を支える役目になります。
軽々に見えますが、実際には一人で持てる重さではありません。
だから石の移動のために、“石の道”を作って動かします。
位置を決めるのも、支える人、位置をみる人、他の石を調整する人…
とにかくいちいち総掛かりです。
位置が決まった石は、専用の接着剤で固定していきます。
微妙な位置調整のために、その場でハンマーで整えます。
こうした作業を繰り返して、湯口の風情を作り上げていきます。
ろ過用の湯口の周囲ができました。
接着剤などが固まるまでしっかり抑えます。
ろ過湯口の部分に、その場で砕いて形を整えた平らな石を敷き詰めます。
(ろ過湯口は、茶色のパイプのすぐ右側、緑の養生テープでふさいであります)
この湯口、実際にはお湯の中に浸かり、
お客様からは見えなくなります。
なぜ水面下なのでしょう?
それは日本の衛生に関する法令上、
循環したお湯は、空気に触れないように湯船に戻さなければなりません。
皆さまもどこかの大浴場に入られた時に、
湯船の側面などからお湯が出てくる流れを感じたことがあると思います。
それと同じ…
なんですが!
ドーミーインは、その循環用湯口を天然温泉用の湯口である石組に組み込みます。
しかも湯面からある決まった距離になるように。
棟梁マツさんが説明をしてくださいます。
「理由は、いつ、どなたが大浴場にいらっしゃっても、
湯に、わずかな動きや音を感じていただけるように、です。
汲み上げの天然温泉がジャバーッと出てくるのは、お湯が減った時だけ。
それ以外はシーン…としてます。
鏡のような水面はそれはそれで美しいかもしれないけれど、
温泉って考えると情緒がない…
そこで、ろ過されたきれいなお湯の出口位置を計算することで、吹き出したお湯が、石組みに共鳴し、
水中から湧き出るお湯のような雰囲気になります。
そのほうがだんぜん風情があるし、コポコポっていうかすかな音が癒やしてくれる。
そんな思いで、いろんな大浴場でいろいろ試してたどり着いた工夫です。
誰も気づかなくてもいいんです。
“なんかいい温泉だったね”、
って言われることこそドーミーインっぽい、
そう思いませんか?
そういえば、いつ、どなたがいらっしゃっても、って、レストランと一緒ですよね」
そしていよいよ、大浴場の雰囲気を決める内湯の天然温泉湯口にとりかかります。
新たな石の道を作って、さらに迫力ある大きな石(もはや岩?)を動かしていきます。
流れるさまを確かめながら、試行錯誤して受石を設置したところ。先程のろ過湯口はもう見えません。
隙間に水がたまらないように、水の道の傾斜を考えながら埋めていきます。
これ、簡単そうで、実は繊細でセンスがいる作業。
本当にいちいち頭が下がります。
いよいよ頭石の設置。
試しに水を流して、温泉の道を確かめながら、ミリ単位で調整します。
「それ、かましてみよう!」
「そこ、削ろう!できる?いや、できるまでご飯抜き!(笑)」もはや石との格闘です。
「なんといっても、ここの大浴場の顔になるからね」
こうして出来上がったのが内湯の湯口です。
実際にお湯が張られた状態ではなかなか見えない、
“水面下”の姿です。
意外と下はシンプルで、まっすぐだと思いませんか?
これ、安全第一だからです。
人って、つい湯口に近寄りたくなる習性?があるようで、
そんなとき、水面下で見えないところがゴツゴツしてたら危険です。
特にお子さまは近寄り率ほぼ100%。
だから、水面下には無意味に石を積みません。
そして石の隙間に指が挟まれたりしないように、
しっかり埋めます。
大工さんチームが先頭になり、
地元の職人さんと協力して、
数時間に及ぶ石との格闘の末、
この内湯の湯口ひとつが組み上がります。
こんなDOMINISTAの目に映っているのは、
自分が入浴した時の、ほっとする光景以外にありません。
さて明日は、このシリーズ最終回。
露天風呂と水風呂です。
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり①】
https://blog.doministyle.net/?p=211
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり②】
https://blog.doministyle.net/?p=213
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり④】
https://blog.doministyle.net/?p=217
石選びから約2週間後…
いよいよ、ドーミーイン高松中央公園前の大浴場の石組みです。
大浴場には、男女それぞれ100個を超える大きな石が運び込まれていました。
大工さんチーム、まずは男性大浴場の内湯の湯口づくりから始めます。
「この配管、2本あるでしょ?」と石組みのプロフェッショナルであるニッタさん。
「奥の長いのが、人が出入りしてお湯が減った時に,
自動で温泉が流れ出る湯口。
で、手前のこれ、湯船を衛生に保つために、ろ過循環させてきれいにしたお湯が出る湯口。
街中では、さすがに温泉旅館みたいに天然温泉かけ流しってわけにはいかないから。
ドーミーインには必ずこの2つの湯口を近くに配置しています。
これが僕たちがたどり着いた、今のところ最新の“ドーミーイン流”湯口。
しくみは後で説明しますね」
そんなニッタさんがおもむろに持ち上げたのは、記念すべき第一号の石。
これは“ゴロタ”といって、“受石”を支える役目になります。
軽々に見えますが、実際には一人で持てる重さではありません。
だから石の移動のために、“石の道”を作って動かします。
位置を決めるのも、支える人、位置をみる人、他の石を調整する人…
とにかくいちいち総掛かりです。
位置が決まった石は、専用の接着剤で固定していきます。
微妙な位置調整のために、その場でハンマーで整えます。
こうした作業を繰り返して、湯口の風情を作り上げていきます。
ろ過用の湯口の周囲ができました。
接着剤などが固まるまでしっかり抑えます。
ろ過湯口の部分に、その場で砕いて形を整えた平らな石を敷き詰めます。
(ろ過湯口は、茶色のパイプのすぐ右側、緑の養生テープでふさいであります)
この湯口、実際にはお湯の中に浸かり、
お客様からは見えなくなります。
なぜ水面下なのでしょう?
それは日本の衛生に関する法令上、
循環したお湯は、空気に触れないように湯船に戻さなければなりません。
皆さまもどこかの大浴場に入られた時に、
湯船の側面などからお湯が出てくる流れを感じたことがあると思います。
それと同じ…
なんですが!
ドーミーインは、その循環用湯口を天然温泉用の湯口である石組に組み込みます。
しかも湯面からある決まった距離になるように。
棟梁マツさんが説明をしてくださいます。
「理由は、いつ、どなたが大浴場にいらっしゃっても、
湯に、わずかな動きや音を感じていただけるように、です。
汲み上げの天然温泉がジャバーッと出てくるのは、お湯が減った時だけ。
それ以外はシーン…としてます。
鏡のような水面はそれはそれで美しいかもしれないけれど、
温泉って考えると情緒がない…
そこで、ろ過されたきれいなお湯の出口位置を計算することで、吹き出したお湯が、石組みに共鳴し、
水中から湧き出るお湯のような雰囲気になります。
そのほうがだんぜん風情があるし、コポコポっていうかすかな音が癒やしてくれる。
そんな思いで、いろんな大浴場でいろいろ試してたどり着いた工夫です。
誰も気づかなくてもいいんです。
“なんかいい温泉だったね”、
って言われることこそドーミーインっぽい、
そう思いませんか?
そういえば、いつ、どなたがいらっしゃっても、って、レストランと一緒ですよね」
そしていよいよ、大浴場の雰囲気を決める内湯の天然温泉湯口にとりかかります。
新たな石の道を作って、さらに迫力ある大きな石(もはや岩?)を動かしていきます。
流れるさまを確かめながら、試行錯誤して受石を設置したところ。先程のろ過湯口はもう見えません。
隙間に水がたまらないように、水の道の傾斜を考えながら埋めていきます。
これ、簡単そうで、実は繊細でセンスがいる作業。
本当にいちいち頭が下がります。
いよいよ頭石の設置。
試しに水を流して、温泉の道を確かめながら、ミリ単位で調整します。
「それ、かましてみよう!」
「そこ、削ろう!できる?いや、できるまでご飯抜き!(笑)」もはや石との格闘です。
「なんといっても、ここの大浴場の顔になるからね」
こうして出来上がったのが内湯の湯口です。
実際にお湯が張られた状態ではなかなか見えない、
“水面下”の姿です。
意外と下はシンプルで、まっすぐだと思いませんか?
これ、安全第一だからです。
人って、つい湯口に近寄りたくなる習性?があるようで、
そんなとき、水面下で見えないところがゴツゴツしてたら危険です。
特にお子さまは近寄り率ほぼ100%。
だから、水面下には無意味に石を積みません。
そして石の隙間に指が挟まれたりしないように、
しっかり埋めます。
大工さんチームが先頭になり、
地元の職人さんと協力して、
数時間に及ぶ石との格闘の末、
この内湯の湯口ひとつが組み上がります。
こんなDOMINISTAの目に映っているのは、
自分が入浴した時の、ほっとする光景以外にありません。
さて明日は、このシリーズ最終回。
露天風呂と水風呂です。
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり①】
https://blog.doministyle.net/?p=211
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり②】
https://blog.doministyle.net/?p=213
【ドーミーインの大浴場 石のこだわり④】
https://blog.doministyle.net/?p=217
DOMINISTYLEの活動を楽しんでいただくために、様々な活動を行っています。サウナビギナーで、最近、ウィスキングに興味津々。